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子どもの遊びは心の表現 【ムックマム12号より】

子どもにとって遊びは、大人の遊びとは違い、単に暇つぶしではないようです。母親ならば自分の子どもの遊びの様子から、その子どもの性格や気持ちを感じることはできると思います。まだ言葉を充分に使いこなせない子どもにとって、遊びは心の奥を表現する大切な手段でもあるでしょう。わが子の場合でも、とても印象深い出来事があります。

現在6歳になる娘は、2歳半の時、先天性の病気のため手術をし、2ヶ月近くに及ぶ入院生活を経験しました。けれども、とても元気に、嬉しそうに退院してきたわが子の姿を見て、私は心からほっとしたものです。

ところが、翌日からの子どもの遊ぶ姿を見て、私は思わず家事の手を止め、その場に呆然と立ち尽くしてしまいました。
わが家には、子どもが入院する少し前に完成した、主人の手づくりの木製キッチンと棚があり、ピンクの布をかけて屋根にした、シュタイナー幼稚園のようなお家があります。入院前はその空間の中で、おままごとをしたり、人形たちと仲良くほのぼのと遊んでいたのですが、退院の翌日から、私の作った赤ちゃんのお人形やミッキーちゃんの体中に楊枝を刺し、木製の熊にバンソコをペタペタ貼り付けるという遊びを始めたのです。いくらのんき者の私にも、子どもの心の傷がどんなに深かったのか、この様子を見てはっきりと感じ取れました。

こんな遊びを、娘は毎日朝から晩までニヤニヤしながら楽しそうにしていました。そして、それはほぼ3ヶ月間続きました。しかし、こうやって遊びの中で自分の心の傷をしっかりした形で表現することによって、それは少しずつ癒されていったのかもしれません。本来なら母親がもっとしっかり子どもを抱きしめ、心の傷を癒してあげられれば、3ヶ月も続かなかったのかもしれません。それを思うと、後から母親としての自分の未熟さに心が痛んだものです。ともあれ、この人形を切り刻むという遊びが子どもの傷を癒してくれる助けとなったとしたら、子どもにとって遊びはとても重要なものだったと言えます。

話はそれますが、プレイセラピーという遊びの療法があります。これは、入院中の子どもの心の痛みを、遊びを通して癒していくというものです。あと数時間の命の子どもがおもちゃを次々と運んで、仲間たちに囲まれ、楽しそうな様子をすると言います。また、子どもの心が癒されると、その免疫力が高まり、治療効果が上がっていると言われています。

日本の病院にはプレイセラピーはとり入れられていませんが、スウェーデンでは40年も前から行われています。大きな病院の小児科には必ずプレイセラピー科が設けられており、そこには専門に学んだプレイセラピストがいるそうです。プレイーセラピー科の空間にはおままごとコーナー(木製の机やいすや台所が置かれている)や水遊び用の部屋、大工仕事のできる部屋、おもちゃのカルテやレントゲンのおいてあるコーナーなどがあります。また、キッチンではクッキーやパンが本当に焼け、流し台の下はがらんどうになっていて、車椅子でも食器洗いができるように工夫されています。壁に取り付けたドールハウスは奥行きがないので車椅子の子どもでも遊べますし、重症の子どもにはプレイセラピストがワゴンでおもちゃを運びます。そしてベッドの上でケーキの粉をまぜることもできます。中庭には季節の花が咲き、菜園もあります。

私の子どもが入院した大学病院にもプレイルームというのがありましたが、そこはテーブルとエレクトーンとテレビと絵本が置かれてあるだけの殺風景な狭いスペースでした。それでもそのプレイルームで娘は入院中、午前中の2時間くらい他の子達と一緒に保母さんに遊んでもらっていました。

そして、手術をした翌日、息をするのも苦しいという状態でしたので、「今日はやめようか」と私が言うと「行く!」とはっきり言ってどうにか車椅子に乗り、プレイルームに向かいました。そして、じっとただうつむいてその場に座り、他の子が遊ぶのを見ていたということがありました。やはり、子どもにとって遊びは、大人が考えている何倍も重要で、深い意味があることなのではないかと思います。

ところで先ほどのプレイセラピー科の空間ですが、その写真を見ると、おままごとコーナーといい、屋根のある空間といい、保育室のカーテンの使い方といい、私が見たシュタイナー幼稚園にとても似ていて驚きました。プレイセラピーにおける遊びの考え方も、シュタイナー教育の考え方とほぼ一致しています。

実のところ、私はわが家のピンクの屋根のある家は「かわいい~」という軽い気持ちで主人に作ってもらいました。しかし、子どもが寝入った後、このお家へ入ってみると心が落ち着き、穏やかになっていくのを感じます。心が落ちつく環境の中、遊びという形の中でのびのび心の奥を表現できた子どもの魂は自由で、進むべき方向に育っていくのかもしれません。そういったことを考えると、“たかが子どもの遊び”と思わず、私達母親も家事や育児に忙しくはありますが、時には子どもの遊んでいる姿を観察することも大切なことなのかもしれないと思います。

Minako.S

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