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第4回 アトピーっ子ママの集いに思う ~根っこから変わるということ~

 先日、アトピーっ子を持つお母さんの集いにアドバイザーとして招かれた。
軽度の子から重度の子までそれぞれの体験を一人一人が語るのを聞いて
いて、お母さん達の苦労を思うとともに、いかにアトピーを表面的にしかとら
えていないかを感じた。血液検査をして卵やダニが出た。温泉療法や民間
療法にお金と時間をかけている・・・。
卵やダニは症状のきっかけにはなっているだろうし、出てきた症状をやわら
げるのに民間療法もいいと思う。でも一方で、どうして近年こんなにアトピー
が増えたのか、その原因は高度経済成長以降の急激な社会状況・ライフス
タイルの変化にあるのではないか、という視点も持ってほしいと思った。
アトピーは体質だ、遺伝だ、だからしょうがないと考えるのでなく、体質や遺伝
的なものがあっても症状が出るとは限らないことに注目してほしい。

 なかに一人、こういうお母さんもいた。2歳の子がアトピーということだが、
「小食で困っています。もっとごはん(食事)をちゃんと食べてくれたら、栄養
もついて元気になって、アトピーもよくなると思うんですが」。もっともな話だと
思ったが、2歳の子がごはんを食べない、なんてことあるわけがない。おかし
いと思ってたずねてみた。「飲み物は何を飲ませていますか?」「牛乳です」
「一日にどのくらい?」「800ccぐらい」。

 アトピーの子に牛乳を飲ませるということそれ自体の問題もあるけれど(牛
乳アレルギーであろうとなかろうと)、そのことには触れずに言った。「2歳の
子に800ccというのは、それだけでカロリーが足りてしまってごはんを食べな
いのは当たり前じゃないでしょうか」。そこでのお母さんの反応・・・私はこれに
いささか驚いた。少しも動じず、「わかってます。でも、やめられないんです」
とけろりと言ったのだ。やめられないんですったって、大人の酒や煙草じゃ
あるまいし・・・。「お母さんが飲ませなければ、それで済む話じゃないですか?」
「でも、子どもが牛乳好きなので、負けてしまうんです」。「それなら牛乳を買わ
なければいいんじゃないですか? うちは牛乳買えなくなったんだとか何とか
言って」「・・・・・・・」。
 これ以上話しても、責めているだけになりそうだったので、打ち切ったけれど、
同じ母親として、このお母さんのことが妙に心配になってしまった。一事が万事、
この調子なんだろうか? 子どもがアトピーで苦しんでいる、全身で訴えかけて
いるというのに、根本的な問題を考えてみるどころか、きわめて簡単な対処法ま
で「わかってるけど、できない」と平然としている。この複雑で散々な今の社会の
中でこれから長い年月、子どもを育てていかなきゃならないのに、目の前に転が
っているこんな初歩的な〝課題〟にさえ向き合えなくて大丈夫なんだろうか?

 一方には、何とか療法やらをやって子どもに薬を一切使用せず、ぼりぼり掻き
続けているけれど気にしないという親(皮膚が三回むけると治ると信じているらし
い)、掻くからと夏も長袖・長ズボンを着せて、冷房もない保育園に通わせている
親、もっと小さい頃はベッドにひもで縛りつけて寝かせていたとか・・・。ステロイド
薬については、随分前にマスコミが間違った報道をして、いまだに随分誤解を受
けている。かくいう私も長い間、恐ろしい薬だと思っていた。それに、いろんな民間
療法系の先生方が「ステロイドの毒は体にずっと残る」と語っているのをあちこち
で読んで、そういうものかとビビっていた(実際には違う)。だから、ステロイドを一切
塗らないと決意したお母さんの気持ちは、実のところよく分かる。

 でも、私の友人が命にかかわる難病のためにステロイドを日々〝内服〟せざる
を得ないのを見るうちに、とりあえず副作用があろうとなんだろうと、内服を拒んで
死ぬよりいいじゃないか、と思うようになった。ものには順序がある。〝命〟あって
こそ。となると、次に大事なものはなんだろう? (思想・信条みたいなことは別とし
て)、それは〝快適な生活を送る〟ことではないか。快適というのは、快楽的という
ことではなく、ごく普通に日々の暮らしを送っていけるという意味だ。特に子どもにと
っては、もりもりご飯を食べ、熱中して遊び、夜はぐっすり眠る・・・ということが、体を
作る上でも、精神的な発達の上でも、何ものにもかえがたい基本的な要素ではな
いか。ならば、やはりそのために薬が役に立つなら、塗ってやるのが本筋だろうと
思う。
この〝優先順位〟を、親が個人的な考えのために入れ替えてしまうと、子どもは
親の信念の犠牲になりかねない。実際そういうケースが、アトピーに限らずいろん
な意味で熱心なお母さん達の中に結構あるようだ。(私も気をつけなくっちゃ)。
それにしても、子どもの体質をもっと良くしてやるためにも、薬の害(多少はあると
して)を体からきれいに出してやるためにも、とりあえず症状が出にくくするために
も、ライフスタイル(特に食生活)を見直すということは、短期的にも長期的にも非
常に効果がある。それに、アトピーをはじめとする生活習慣病から縁を切るには、
こういう根本的な見直しより他に道はないのだ。

 アトピーっ子のお母さん、そんな莫大なお金や時間やエネルギーを費やさなくても、
朝食をご飯に変えて牛乳飲むのをやめてごらんよ。スナック菓子とジュースをやめて、
ふかし芋と番茶にしてごらんよ。それだけで今の苦労の半分にきっと減ってしまうよ。
出てきた症状(葉っぱ)だけを見て、これをどう無くそうかと考えているうちは、いたち
ごっこを抜けられない。その葉っぱの出てきたおおもと(根っこ)から変わらないと、
抜いても抜いてもおんなじだ。でも、根っこを変えるというのは、ただ食事を変えるだ
けの話でなく、これまでの自分の人生観を変えるということだから(そうでなければ結
局、食事だって対症療法に過ぎない)、これは本腰入れて向き合わなきゃ。
アトピーや病気はそのための最大のチャンスかもしれないと思う。

                                          2001.9.20


初出:食生活と健康を考える人のための雑誌
    『日常茶飯事』3号(幕内秀夫責任編集)

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